藍を誇れ 1

六月のある晴れた日に

無理もない。二人は所属団体は異なれど、

学年が違えば役割も責任の重さもまったく

異なる、上下関係がしっかり存在する

体育会の学生だったのだ。

賢一に他人には譲れないものがあるように、

理美にも他人に譲れないものがある。

それは互いに年齢を重ねた証拠(しるし)

なのかもしれない。

六月の、昨日までの雨模様が嘘のように

晴れ上がった日、理美はスタジオに到着

してスケジュールを聞いた瞬間に写真

撮影の段取りを賢一に任せたことを後悔

した。

彼女は写真店の店頭によく展示されている

家族写真が好きではない。成人式で懲りた。