転けたら先には…

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これは「私」が二年前に体験した話です。 私はその日、仕事を終えて帰宅する最中でした。仕事の進みもよく、いつもより早めの帰路。少しだけ浮き足立っていたのかも知れません。 目についた雑貨屋さんへと足を踏み入れ、早数刻。気が付けば周りは夕闇の迫る時刻でした。 仕事場を出たのが夕陽の綺麗な時刻だっただけに少し驚き足早に家と向かいました。 そんな時です。それが起きたのは……。 グンッと後ろ髪を引かれました。ポニーテールにしている髪の毛を後方へ思い切り引っ張られ、髪の毛が痛いのと体勢が崩れたので思い切り尻餅をついて転けてしまったのです。 結い上げていた髪は解け、お尻は痛い。怒りが込み上げて声を張り上げながら振り返りました。 「いったいな!何するの!!」 そこで数分。いえ、数秒でしょうか。息が止まりました。 私の背後には人の姿がないのです。人の姿はおろか、普段野良猫などもいる通路にも関わらず”誰も”居ないのです。真夜中なわけでもなく、薄暗い中でも街灯も有るので何かしら居れば視認出来ます。けれど、誰も居ないのです。 驚きつつキョロキョロと顔を振りながら辺りを確認したけれど、やはり誰も居ないのです。 ゾワリとして先程の怒りは恐怖に変わりました。 私は直ぐ様立ち上がると駆け足で家路に就きました。 皆さんも背後にはお気をつけ下さい。
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