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影武者
ぼくは知っている。
英明が太郎を殺したことを。
ぼくと太郎は幼馴染だった。
小さい頃からいつも一緒で、一緒にいるとよく
兄弟と間違われた。
顔はそんなに似ていないと思うのだけどたぶん
雰囲気がそっくりなのだ。
英明は小学校から同じ学校に通うようになった。
それまで別の地区で幼稚園が違ったから同じ学区内に英明がいることを
知らなかったのだ。
英明は、他の子供たちより頭一つ背が高く体格も良いので
他の子供に対しても偉そうだった。
気がついた時には英明はガキ大将になっていて、ぼくらは何故か勝手に
英明の子分ということになっていたのだ。
英明はことあるごとにぼくらに偉そうに命令して、言うことを聞かないとぶってきた。
力の差は歴然だ。
ある日、太郎は自分の家のマンションの非常階段のところで、買ってもらったばかりの
新作のゲームをしていた。その日、あとでぼくと合流して一緒にそのゲームの
クエストをやる予定だったのだ。
ぼくは掃除当番だったので、一足遅く、待ち合わせの場所についた。
すると太郎が、英明と何事かもめていて、つかみ合いの喧嘩になっていたのだ。
あの大人しい太郎が。何があったんだろうと、ぼくは英明が怖いけど止めに入ろうと近づいた。
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