女帝・西園寺湊

23/25
前へ
/282ページ
次へ
驚く俺をよそに、智恵理が腕組みをして、うんうんと首を縦に振る。 たったそれだけのことで、俺は地獄から天国へと引き上げられた。 「そうか?」 「うん。 だって、あんな人が隣にいたら落ち着かない」 それって、どういう……。 「わかります!!」 智恵理の言葉に藤崎が激しく同意する。 「僕も今日、一条さまの秘書の澤村さんと、湊さまの秘書の酒井さんに挨拶したんですけどね。あの二人も凄い雰囲気のある方達で。もう、ドキドキしてしまって全くいつも通りに振る舞えませんでした」 お前はいつも通りにしたところで大したことはないからな。 余程ひどかったんだろう。 ……って、それより、肝心な所で俺たちの会話に入って来るなよ! 「澤村さんは一切の無駄がないスマートな男性でしたし、酒井さんは何だか…ふわふわっとした可愛い感じで」 「わかる!超、美少年!!」 「まるで物語の中にいる人達みたいでしたよね」 「そう、そう!」 「これが日常だったら落ち着きませんよ」 「ね~、普通が一番」 「……それは俺が平凡ってこと?」 「「うん」」 くそっ!二人で声揃えて頷くな。
/282ページ

最初のコメントを投稿しよう!

160人が本棚に入れています
本棚に追加