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驚く俺をよそに、智恵理が腕組みをして、うんうんと首を縦に振る。
たったそれだけのことで、俺は地獄から天国へと引き上げられた。
「そうか?」
「うん。
だって、あんな人が隣にいたら落ち着かない」
それって、どういう……。
「わかります!!」
智恵理の言葉に藤崎が激しく同意する。
「僕も今日、一条さまの秘書の澤村さんと、湊さまの秘書の酒井さんに挨拶したんですけどね。あの二人も凄い雰囲気のある方達で。もう、ドキドキしてしまって全くいつも通りに振る舞えませんでした」
お前はいつも通りにしたところで大したことはないからな。
余程ひどかったんだろう。
……って、それより、肝心な所で俺たちの会話に入って来るなよ!
「澤村さんは一切の無駄がないスマートな男性でしたし、酒井さんは何だか…ふわふわっとした可愛い感じで」
「わかる!超、美少年!!」
「まるで物語の中にいる人達みたいでしたよね」
「そう、そう!」
「これが日常だったら落ち着きませんよ」
「ね~、普通が一番」
「……それは俺が平凡ってこと?」
「「うん」」
くそっ!二人で声揃えて頷くな。
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