少女は小さく思考する。

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少女は小さく思考する。

ほんのり光が差してるよ。 ほんのり太陽がみえるよ。 『ほんのり』は最近知った言葉。 ―小さな村でひとりぼっちな女の子。 何故か、翼が有った。 真っ白な。綺麗な。見事な。 村の人間は自分を大事に扱った。 そのおかげで、自分は寂しくなかった。 ―なんと綺麗な銀髪。 自分は自分が美人かなんて知らない。 分からないもの。 自分について、知ってる事は― 羽があること。 『親』がいないこと。 銀髪な事。 小さな存在であること。 ―それだけ。 ―言葉をあまり知らない女の子。 口はあるけど、言葉を知らないから喋らない。 でも、喋る必要がない。 人間なんかより、動物の方がずっとおしゃべりだよ? だけど、村の人々は言葉を教える。 だから、覚えた。 覚えたての言葉で拙く話す練習をしている。 大きな切り株は自分のお気に入り。 そこに腰掛けている。 小さな墓のような石がある。 石の後ろには、護られているような扉がある。 入ったことは、ない。 けど、入ってみたい。 木々の隙間からは、太陽の光が差しこんでくる。 優しく、包み込むように。 ―昼下がりの小さな箱庭。
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