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「なんと、お優しい! 分かりました。せめて天使の様に優しいあめさんには、最高の美味を授けましょう!」
タコの体が一層輝きを増す。
そして……
……
……
……イカリングが三つ、空から降って来た。
イカリングが二つ、そのままベッドとクッションへダイブする。そして残りの一つは、あめさんのスマホに降臨した。
「キャア―――!!! ベッドとクッションに油が!!! スマホもベトベトに!」
「ハッピーバースデー!」
「どこがハッピーなの!?」
「スマホのストラップとして使うと良いでしょう。見た目も可愛いイカリング。お腹が空いたら食べる事も出来るし……」
私はタコの体を両手で鷲掴みにした。
「ありがとう……ちょうどお腹が空いたところよ……もう食べてもいいかしら? でもイカリングだけじゃ足りないわ。あなた……足が6本しか無いわね。うちゃと快さんに食べられたのでしょう? 変なタコの足が美味だったって言ってたよ……6本もあれば、もう1本くらい……」
「ちょっ、まっ、話し合いましょう!」
「タコ焼き、お刺身、たこわさ、タコ飯、お寿司……タコ墨で作るパスタって美味しいのかしら?」
「笑顔だから余計に怖い! あっ、あっ、あなたの願いは叶えました! では、さようなら」
……
……
こうして、イカリングを部屋中に残して神は消えた。
「私……何も悪い事してないよね?」
イカリングを口に運ぶと、やたら美味くて余計に悲しくなる。
スマホを手に取って油を拭くと、多くのクリエーターからお祝いのメッセージや作品が届いている事に気付いた。
癒される。
「みんな優しいな……あっ!?」
大変な事に気付いた。
「あのタコ神様……他のクリエーターのところにも……」
……
……
……それはそれで面白いか。
この意味不明な出来事を心の奥へと閉じ込め、私はシャワーを浴びる事にした。
そして神は、先輩の黒猫と、五丁目に住む玄武の下へ飛んで行く……
【HAPPY BIRTHDAY!】
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