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「もう線路内に入っちゃだめだよ?」
僕は、大声で玄関の男の子に声をかけたが、男の子は振り返らなかった。
まったく。あんな幼い子供を置いて、なんて親なんだ。僕は一人憤慨していた。
そう言えば、妹が居るって言ってたな。幼い子供、二人だけで留守番なのか。
本当に最近の親はどうなっているのだ。僕は胸に怒りを感じながら、その家を離れようとした。
すると、男の子の隣の家の住人が家から出てきた。
「あの、お隣に何かご用ですか?」
その女性は明らかに不審者を見るような目で、僕を見ている。
丁度よかった。お隣さんに、ご両親に伝えてもらえばいい。
「あの、僕、怪しいものではありません。実は、お宅のお隣の家の坊ちゃんが毎日夕方、線路に入って遊んでるんですよ。奥さんから、ご両親に伝えてもらえませんか?危ないから、お子さんに注意するように。」
僕が、そう言うとその女性は凍りついたような表情になった。
「あ、あなた。いったい何を言ってるの?冗談にしては酷いじゃないですか。何者なの?あなた。」
女性は怒りをあらわにした。僕は何故怒られているのかわからなかった。
「な、何のことですか?冗談なんかじゃ・・・。」
僕がそう言うと、女性はますます声を荒げた。
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