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「ニュースか何かで知ってるのかもしれませんが、そういう酷い冗談は許しませんよ?人の不幸をなんだと思ってるんですか?」
僕には何がなんだかわからない。
「ちょ、ちょっと待ってください。ほんとに、男の子が線路に。」
「そうよ!あの子達は線路で亡くなったの!1年前に。無理心中よ。ご主人が亡くなったのに絶望して、奥さんは子供と一緒に電車に飛び込んだ。翔くんと奥さんは跳ね飛ばされて亡くなった。綾香ちゃんは・・・」
そう言うと女性は感情が高ぶったのか、顔を両手で挟んで涙を流した、
「綾香ちゃんは、体がバラバラに・・・。ほんと、酷い人ね、あなた。」
女性は僕を睨みつけた。
「じゃあ、この家は・・・。」
僕は唾をごくりと飲み込んだ。
「もう1年間ずっと空き家よ。誰も住んでるわけないじゃない!怪しい人ね、警察呼ぶわよ?」
僕はそう大声で叫ばれ、急いでその場を離れ、家路を走った。
そんな、バカな。あの男の子はいったい。あの女性が言っていた、翔くんか?
だって、僕は、あの子の手を握ったのだ。確かに、あの子の手を握り、あの子の家まで送った。
僕はその日、まだ信じられなくて、眠れなかった。
次の日、僕は仕事を休むわけにはいかず、その日も仕事を終え、駅から徒歩で家路をたどる。
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