海の花火

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 「いいなあ」  男は一人、砂浜で呟く。男の目線の先には、一人の女性がいる。20代前半の、色の白い美人である。  女性はエアーマットという、ベッド状の浮き輪の上に乗っていた。そこで女性はくつろいでいた。  男はカメラを取り出し、女性の写真を撮る。思わず笑みがこぼれそうになるが、そこは我慢した。なぜなら、気づかれては困るからだ。  女性はエアーマットの上に寝そべった。何の警戒もしていない、無防備な状態。男はリュックから機械を取り出し、ボタンを押した。  その瞬間。  大きな音を立てて、海から花火が上がった。ビニールの破片が宙に舞い、次いで火薬のにおいが漂う。  「アイを受け取ってくれないなら、死んで」  男は一人、砂浜で呟く。男の視線の先には、一人の女性がいた。20代前半の、色の白い美人だった。
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