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晴天と夕立
『次の日曜、会うぞ』
そう送られてきた絵文字も顔文字もない味気ないLINEに俺は少し、戸惑った。
いや、LINEやその内容に戸惑ったんじゃない。
そのLINEの送り主に俺は戸惑ったんだ。
この人からの誘いを断ることはできない・・・。
いや、正確にはできるのだが精神的にそれはいろいろと難しいし、厳しい。
俺は短く『わかりました』とだけ返し、スマホの電源をわざわざ切って大きな溜め息を吐き出した。
何となく億劫だ・・・。
俺はふと鏡に映った自分の顔を見て苦い笑みを滲ませた。
鏡に映った俺はどんよりと重たい顔をしていた。
前はもっといい顔をしていたはずだ。
もっと・・・楽しそうな明るい顔を・・・。
それは例えるなら真夏の晴天。
今日のような天気のいい、明るい顔を俺はしていたはずだ・・・。
なのにいつの間にか俺のその顔は・・・表情は雲ってしまった。
天気のよかったその夕方に強烈な夕立が来たようなそんな顔に俺はなってしまっていた・・・。
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