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「サラー。まーだー?」
サラに着替えを託し、およそ10分。出てこない彼女に業を煮やし、アスタは扉をノックした。
「ちょっと待ってくださいっ」
サラの焦ったような声。アスタは思わず不安になる。
「もしかして入んなかった?」
「そういう訳じゃ――」
「じゃ、どうした?」
「…………」
返事が来ない。痺れを切らし、彼は質問を変えた。
「ドレス着れたか?」
「あ、はい」
「じゃ、開ける」
「はあ!?ちょ――」
彼女の制止を聞かず、アスタはドアを開けた。彼と目が合った途端、サラは赤面した。
サラのドレスはチューブトップ型の真っ白なワンピースドレスだった。デコルテは丸見えだし、後ろはビスチェで締めるため、身体のラインがよく分かる。スカートがまだ、そこまで短くないのが救いだ。
しかし、普段スーツをきっちり着る彼女からすれば、露出の高い服装で、なおかつ明らかに高価なドレス。彼女はすっかり気後れしていた。そして、用意したであろう本人は、ぱちぱちと目を瞬かせた。
「じ、じろじろ見ないでください」
彼女が困ったように言えば、アスタは小さく笑った。
「大丈夫。ちゃんと可愛いよ、サラ」
その台詞にまたサラは赤面する。アスタは近づきながら、彼女に訊ねた。
「きついとことかない?靴のサイズも大丈夫?」
「は、はい。というか、よくサイズ分かりましたね」
「そこはオリヴィアとヘレンから」
「あぁ。なるほど」
サラは頷く。
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