俺の姫様に愛されたい

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サラは目を丸くする。アスタは、彼女を抱えたまま歩き出した。 「一人っ子は、俺みたいなわがままになるからダメ。どんなに少なくても、二人は欲しい」 「え?アス――」 「あと女の子がいい。サラに似たら、絶対可愛い」 アスタが寝室のドアを開ける。ベットが目に飛び込んできて、サラはぎょっとした。 「ちょっ――!」 「男だったら、生意気そうだなー。でも、サラの言うことは聞く子になりそう」 「アスタ!待って!下して!」 彼はサラをベットに下ろす。アスタが彼女の上に覆いかぶさると、サラは羞恥に染まった目で彼を見上げた。アスタが微笑む。 「今日からおいで」 サラは『何が!?』という顔をする。彼は繰り返した。 「俺の部屋、今日からおいで」 サラはその台詞にぎょっとして、視線をうろうろと彷徨わせる。 ――逃げていいんだぞ、 サラ。逆に逃げるなら、今しかねェ。あとで泣いても離してやれねェ。 サラは自分の腕で顔を覆った。耳まで真っ赤だ。やっぱり無理かと、アスタは思い始める。 「せ」 「せ?」 アスタの頭に疑問符が浮かぶ。サラは恥ずかしさに震えながら答えた。 「…………せめて、明日でお願いします」 ――あー。ほんとずるい。 アスタは苦笑し、サラの腕を引いて起き上がらせると、彼女を抱きしめた。ぽんぽんとサラの背を叩く。
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