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アスタはサラの後ろに回る。
「ビスチェタイプにしなさいって言うのも、オリヴィアから。ドレスはやっぱりピッタリしてないといけないって」
「は、はぁ……」
「でも、そっか。後ろ結ばないといけないから、一人で着るのは難しいな」
そう言って、彼はビスチェの紐を解いた。
「は!?ちょ――」
「動かない」
真面目に怒られ、サラは大人しく固まる。シュルシュルと布の擦れる音がする。ビスチェを結び直しているのは分かるが、かなり心臓に悪い。自分に見えない、無防備なところを触れられているというのが、落ち着かなかった。動かないというより、動けずに彼女はそれをやり過ごす。
「はい。できた」
アスタが満足そうに呟く。
「あ、ありがとうございます」
「ん」
そして、彼はじっとサラを見つめた。不思議に思った彼女は首を傾げる。
「まだ何か?」
「うーん」
アスタは彼女のうなじに手を伸ばす。
「髪はアップの方がいいかなー」
サラはびくりと肩を弾ませる。うつむきながらも彼女は答えた。
「わ、分かりました。明日はそうします」
「ん」
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