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そしてまた、アスタはじっと彼女を見つめた。彼女は今度は視線だけで問う。すると彼は小さく笑った。
「サラ」
手を広げて、アスタは言った。
「ぎゅってさせて」
その瞬間、サラは顔を真っ赤にした。思いきり彼の言葉を拒絶する。
「ダメです!!」
「ダメかー」
返事が分かっていたかのように、アスタはからからと笑った。彼の平然とした態度に彼女は思わず唇を尖らせる。
「……人のことからかって楽しいですか?」
するとアスタは首を振った。
「違う違う。俺は、人をからかうのが好きなんじゃなくて、サラをからかうのが好きなの」
「余計にたちが悪いです」
「はははは!」
楽しそうに笑った彼は、サラの髪をすくった。
「綺麗だよ、サラ」
アスタは真っ直ぐ彼女の瞳を見つめた。
「人に見せたくないくらい、最高に綺麗だ」
サラは思わず顔を赤くし、目を逸らす。
「か、からかわないでください」
だが、彼は止めなかった。目を細め、彼女に囁く。
「白い肌も、栗色の髪も、夕陽みたいな赤い瞳も全部、全部綺麗だ」
「だから――」
「照れた顔も、拗ねた顔も、怒った顔も可愛い。サラだから、全部可愛いんだ」
「いい加減に――」
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