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「ごめ、止まらなくて」
「いつき、なんで?」
〝なんとなく〟なんて言われるのが怖い。
でも、唇から伝わってくる感情があった。
「なんとなく」
聞きたくない言葉があたしの耳にふれる。
「なんと、なく」
自分でも繰り返してみるけどなんとも残酷な言葉だ。
「なわけ、ねーだろ」
ぐいっとあたしを自分に引き寄せる。
「え?」
「なんとなくでお前にキスするほどバカじゃねぇよ」
少し垣間見えた彼の表情はどこか赤くなっているような気がした。
「なんで?」
「わかんねぇの?俺誰にでもキスするわけじゃないけど?」
誰にでもしなくてあたしにはする。
「へ?」
あたしのこと?って考えるけど、でもそんなわけないんだ。
あたしなんか恋愛対象外なんだ。
「ヒント出してたの全部瑠璃のことだよ」
「うそ…」
「ほんと」
ベッドに横たわるあたしの頭を優しく撫でる。
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