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竜之慎は、周囲を牽制するように立ち回るとそう叫んだ。
「はっ、強がるのもそこまでにしときな。一人でなにができるものか。」
一人の男が舞姫へと近づく。
ザシュ!
「ぐわあああ、いてぇよぉー!」
竜之慎に斬られた男は、血を吹き出しながらのたうち回っていた。
「野郎!」
「やっちまえ!」
竜之慎に飛び掛かる複数の男たち。
竜之慎は必死に抵抗するも多勢に無勢、次第に体のあちこちを斬られ瀕死の重症に陥る。
「竜之慎! もうよい。これ以上は死んでしまう。お願いします、抵抗はしませんからどうか彼だけは助けてください。」
舞姫は盗賊たちに頭をついて懇願をする。
「ひ・・め・さ・・ま。」
(頼む、誰でもいい。どうか姫様を救ってくれ! その為ならばこの身はどうなっても構わない!)
竜之慎が、そう朦朧とした意識のなかで強く願った瞬間、竜之慎の体をまばゆい光が包み込む。
「竜之慎!」
「なんだこれは?」
「おい、どうなってやがる!」
舞姫と盗賊たちが混乱するなかで、竜之慎は意識を失っていった。
しばらくして、目を覚ました竜之慎は自分が見慣れぬ石造りの建物の中に居ることに気が付いた。
「舞姫様!」
竜之慎は、すぐさま先程までの状況を思い出すと舞姫を探すために周囲を見渡す。
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