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しかし、そこには誰もいなかった。そして、不思議なことに自身の傷も跡形もなく無くなっていた。
「どうなっているんだ、一体ここはどこなんだ?」
竜之慎が思わず呟くと、強力な光が再び現れ気が付くと人間とは思えないほどの美貌を持つ女性が竜之慎の前に立っていた。
「突然お呼び立てして申し訳ありません、竜之慎さん。混乱されているのは承知しておりますが、どうか私の願いを聞いてはもらえませんか?」
「あなたは一体?」
竜之慎は女性に見とれながらも、なんとかその言葉だけを返した。
「私の名はメーナス。この世界で神を務めております。この世界はあなたが元いた世界とは別のところにあります。」
「舞姫様はどうなったのですか? 無事なのですか?」
竜之慎にとっては世界の事などどうでもよかった。
「今はまだと言うべきでしょうか。此方と彼方では時間という概念が異なっています。向こうに転送する際に、先程まで貴方が居た時間と変わらないところに戻すことも可能です。ですので、無事というには語弊はありますが今のところは大丈夫です。」
竜之慎はとりあえず一安心した。
「それで、貴方にはお願いしたいことがあります。もし、聞いていただけるならば貴方の姫を助けることの出来る力を授けましょう。」
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