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「心配するな。奴等はそんなに柔じゃない。それよりも気を引き締めていくぞエリーゼ。」
「そうね。これが最後の戦いになるんだもんね。」
竜之慎とエリーゼは、魔王の待つ奥の間へと突き進む。
バーン!
竜之慎は人には大き過ぎる扉を蹴破ると、中で待つ魔王へと視線を飛ばす。
「随分と躾のなっていない家畜どもだ。我に用があるときには僕に言付かってからにしてほしいものだ。」
「生憎と、お前の仲間たちは今は手が離せないようだ。」
竜之慎は魔王へと話し掛けた。
「クックックッ、仲間だと。そんなものは弱者の戯れ言にすぎん。我には仲間など居ぬ。居るのは駒としての僕たちだ。」
「なんだと! お前のために戦っている者たちをお前は駒だというのか。」
魔王の言葉に怒り出す竜之慎。
「実に下らぬ。お前たち人間は、一人ではなにも成し得ない弱者の群れに過ぎぬ。仲間だ絆だと戯言を述べても、結局は他人を犠牲にしても生き残ろうとする獣の性からは抗うことは出来はしない。」
「違う! 確かに人はそういった側面を持っていることは否定できないが、それだけが本質ではない。人間は他者を慈しみ、自らを省みずに手を差しのべることが出来るんだ。その絆の力があったからこそ、今ここに俺たちはたどり着いた!」
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