始まりの物語

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 竜之慎は『暁』と『月光』に魔力を込め始める。 「ならば貴様の言う人間の絆の力とやらを見せてもらおうか?」  魔王は玉座から立ち上がると、全身から発する魔力によって周囲の空間が歪み始めた。 「いくぞ!」  竜之慎は瞬間に爆発的な突進をすると、『暁』で魔王の体を斬ろうとする。  ガキン!  魔王の張った結界により『暁』は弾かれてしまう。しかし、すかさず『月光』を振り下ろすと光の刃が魔王を襲い、結界に罅を入れる。 「小癪な。」  魔王の放つ漆黒の雷が竜之慎に襲いかかる。竜之慎は二本の刀を盾に雷の攻撃を受け止めた。  バリバリバリ───。 「くっ!」 「ギガヒール! 竜之慎、大丈夫?」 「ああ、ありがとうエリーゼ、もう大丈夫だ。」  竜之慎は立ち上がると、再び刀を構える。 「どうした? お前の言う力とはその程度のものなのか?」  竜之慎は魔王の問いに刀で応える。  それから数十合と打ち合いは続いたが、封印解除された『暁』『月光』を用いても、竜之慎は魔王に傷ひとつつけることが出来ずにいた。 (くそっ、結界を何とかしないことには攻撃が通らない。今のままでは奥の手を使うわけにもいかないし。)  竜之慎は攻めあぐねていた。 「どうした? 来ないのならこちらから行くぞ!」     
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