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「い、意地悪ッ! 雛人くん、朝から意地悪だよ!」
そう言って友利先輩は嫌々と言うように首を横に振った。
本当にこの人はいちいち俺を刺激する・・・。
そんな友利先輩が愛しい・・・。
友利先輩は男。
そして、俺も男・・・。
本来なら俺たち男は女の子に恋をする生き物だ。
それが自然の摂理だと俺は思う。
いや、そうだと思っていた。
まあ、それが一般的な考えだろう。
だが、俺は何かに目覚めてしまった。
いや、目覚めさせられた。
俺を何かに目覚めさせたのは間違いなく友利先輩だ。
友利先輩が俺を壊した。
友利先輩に出会うまでの俺は至って普通の男子生徒だった。
その至って普通の男子生徒を壊した友利先輩・・・恐るべし・・・。
ところで俺は今まで何人の女の子たちと付き合ってきただろう?
今まで付き合ってきた女の子たちの人数は覚えていないけれど、その付き合っていた女の子たちの名前と顔、誕生日と電話番号は今でも覚えている自信のある俺だ。
だからそれらを思い出して足していけば俺が付き合っていた女の子たちの人数は必然的にわかる。
けれど、そんなことをするのは面倒だし、そんなことに時間を使うのは勿体ない。
なので俺はそんなことはしないし、何人と付き合っていたかなんてどうでもいいことだ。
その付き合った女の子たちの中に本命なんていなかった。
それがそれをしない何よりもの答えだ。
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