アジフライと白の衝撃

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 冷蔵庫の野菜室からキャベツ取り出した。その丸い球体に包丁をストンと入れ、半分にしたところで、豪快に刻んでいく。家庭科で習ったようなキャベツを一枚ずつ剥がして丸めて刻むようなチマチマした方法はしない。  そこは店屋の娘、門前の小僧。トトトトトッンと軽快な音が台所に響く。水に晒し、泳いだキャベツはそのままにして、落として凹んでしまった容器から揚げ物を取り出すため蓋を開けた。 「あぁっ、崩れてる……、私の…アジフライ……」  中に入っていたフライが、落とした衝撃で形が崩れている。  エビフライは、整列を乱し、アジフライに関しては、衣が剥がれた鯵が、クタッとして容器の隅に納まっていた。 「うぅ……、食べればいっしょか……な?」  何かの衝撃実験だとすれば、エビフライは衝撃に強いと言う事。  そして、アジフライの崩れ方と、自分の受けた衝撃が比例した事が判明した瞬間だった。
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