お仕事

10/12
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
保博がやっと身体を離してくれた。「失礼しました。ごめんなさい。」バツが悪そうな、どうしてよいのやら狼狽えてしまっていたが、焦って隣の部屋に駆け込んでしまっていた。マキは落ち着いて、一人で過ごすのにスィートルームは広過ぎると溜息をつきながら、ドアをロックして、部屋着に着替えて、セットした髪を崩しながら、疲労が先行してしまい、お風呂にも入らずに深い眠りに就いた。シャワーで流したくない保博の温もりが身体に残ったまま夢は何故か迷い犬捜索をしているのだが、カクテルドレスを着たまま草むらを犬を追いかけていた。 翌朝はゆっくりと湯船に浸かりながら、あの廊下の出来事は夢だったのだろうかと不思議な感覚は消えずにいた。隣の保博から朝食を御一緒しませんかと電話があり、ルームサービスで二人は照れくさそうに、本当の婚約者同士とはまた別の雰囲気の中で、互いの仕事の話とかを淡々としながら、ホテルを後にした。マキは中野の自宅まで送って貰い、明日は清算にマキの事務所に行く約束を交わしながら別れた。まだ夢の中にいるようで、今日で現実に戻る決意をしながら、いつもの日常の生活に戻っていった。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!