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わたしは手探りで彼の前の部分に右手を這わせた。器用じゃないので一息にジッパーに行き着けず手が脇やらお腹やらあちこちに当たり、彼を苦笑させる。キスを外した口で和らいだ声で呟いた。
「…何しようとしてるか丸わかりだぞ」
「だって」
口を尖らせて反論しかけた時、ちょうどいい場所に指先が当たる。片手で何とかホックを外し、苦心惨憺してジッパーを下ろす。デニムって何だってこう生地が硬いんだろ。やりにくいったらありゃしない。わたしは焦れて身体の向きを変えた。両膝を揃えて横坐りにしていたのを、彼に正対する。つまり、大きく脚を開いて彼に跨る状態に…。
「こら、行儀悪いな。女の子がそんな…、スカートで、脚開いて男の上に跨って」
その姿勢で俯いてごそごそ彼の股間を何とかしようと集中してると怒られた。わたしは固いジッパーを下ろして彼のそれを取り出そうと頑張りつつ上の空で答える。
「女の子…、じゃ、ないよ。もぉ、ひとの奥さん、だもん」
「人妻って言わないだけましか。…エロいことばっか覚えるな、もう」
やっと手が彼のそれを探り当てた瞬間、わたしはびくんとなって呻いた。…そっちに気を取られて油断してる隙に。彼の手が。
「あっ…、やん、駄目」
「駄目じゃないだろ。こんなに男の上で脚広げて…。ほら、悦んでる。ここ」
「ん…、んっ」
彼の指遣いに思わず自分の手許が疎かになる。あぁ、…そんな。とこ。
下着がすごく濡れちゃう…。
「そこばっかり。…だめ」
「そうだな。…じゃ、ここも」
彼の指先が柔らかく入り口を嬲るように弄る。そんな触り方…。
「あっ、あん、意地悪。…ゆび、ちゃんとなか。挿れて…」
「しょうがない、欲張りな猫だな、夜里は」
焦らすようにそっと入ってくる彼の指。わたしは悦んでそれを味わった。濡れた音が静かな室内で大きく響いてわたしの耳に届く。
「はぁ…っ、ん、いい…のぉ」
「腰動いてるぞ。…こんなに濡らしちゃって」
「だって。…あぁ」
わたしは弄られながら彼の首っ玉に齧りついて夢中でその唇を吸った。
「あたし加賀谷さんだけだもん、もお。…こんな、気持ちいいの。…あ、っ」
「もう。…可愛いな、ほんとに」
渇いた声で囁いて、ぐいと指が付け根まで押し込まれた。わたしは声をあげ、嬉々として腰を遣ってそれを味わう。あぁ…、人差し指が深く中から、親指が外から感じやすい場所を揉みほぐすように刺激して。
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