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海斗の様子が変わった数日後。
隆一が教室で荷物を纏めていると、朝日が声を掛けてきた。
「ねえ、隆一君。今日は二人で遊ぼうよ。校門で待ってるから、バイクの後ろに乗せてね」
二人だけと言う誘いに、隆一のテンションが上がって行く。
可愛らしく手を振る朝日に意識を奪われていると、横から声を掛けられて我に返った。
「なあ、隆一。さっき海斗が怪しい奴らと一緒にいたぞ」
「なんだ、英二か。海斗は子供じゃないんだ、放っておけよ」
「そうだな。あいつは最近、朝日を変な目で見てるからなあ。フフッ……」
「……」
確かに英二の言う通り、いつも海斗は朝日の事を話題にあげる。それは、朝日を好きな隆一へのライバル宣言と感じるほどだった。
「英二は遊びに行かねーの?」
「俺はデートの邪魔をするほど無粋じゃないさ。誰かさんと違ってね」
爽やかに笑う英二を見送って俯く。海斗は悪くないと分かっていても、朝日に囚われた心の狭さが隆一の黒い感情を膨らませる。
「チッ……」
テンションが下がったまま、隆一は朝日の待つ校門へと向かった。
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