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「《Colors》なんてコンビ名を広めたのは海斗だな?」
海を眺めていた凍夜が呟くと、海斗と隆一は驚いた顔を見せる。
「兄ちゃん、よく分かったね」
「噂の出所を探ったからな」
「かっこいいでしょ? 世の中にあるものは全て色を変えるんだ。でも、隆一さんと兄ちゃんは違う。世間の色に染まらないんだよ。隆一さんは真っ白な雲の色で、兄ちゃんは透き通る青空の色から変わらないんだ」
澄んだ瞳で見つめる海斗に、隆一は腕を組みながら笑顔を返した。
「変わらない色を持つ《Colors》……なんか、かっこいいな。海斗も《Colors》だろ? 何色なんだ?」
「違うよ、僕は海。でも、青い海じゃないんだ。青かと思えばオレンジ色に変わるし、黒くも染まる……隆一さんみたいに自分の色を持てないんだよ」
「ふーん。意味分かんねーけど、海斗の頭が良いって事だけは分かったよ」
潮風に髪をなびかせた海斗の笑顔が隆一を潤して行く。
しかし凍夜は、自分達と違う海斗の純粋さを危ぶんでいた。
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