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「反対はしないが、俺は遠慮しておく。それと、この場所には連れて来るな」 「ちょっ、兄ちゃ……」 「待て、海斗。凍夜はそう言うと思ってたよ。みんなで遊ぶとか苦手だからな。でもさ、ノロケ話くらいは聞けよ?」 「ああ。この場所で聞くよ」  命を懸けて隆一を守る。そして、邪魔はしない。それが凍夜を生かす鎖。  この日を境に、溜まり場には凍夜一人という状況が増えた。隆一は海斗を連れ、朝日と仲の良いグループに交じって遊ぶ機会が多くなる。 「朝日さんって可愛いんだよ。優しくて、いつもニコニコしているんだ」  海斗の楽しそうに話す内容を聞いて、凍夜は素朴な疑問を投げ掛けた。 「英二は?」 「英二さん? 面白い人だよ」 「そうか……海斗から見て、隆一の色は変わったか?」 「……隆一さんと兄ちゃんの色だけは変わらないよ」  何でも素直に話す海斗が声を濁す。違和感を覚えた凍夜だったが、追及を許されないほど、異常なまでに朝日の事を聞かされ続けた。  そんな日々が続き、七月のむせ返る様な暑い日。一人で歩く海斗を見つけて凍夜が声を掛ける。 「今日は一人なのか? 隆一達はどうした?」 「兄ちゃん……今日は体の調子が悪くてね……」  明らかに態度がおかしい。それに、海斗の瞳の色が暗い夜の海を連想させる。  調べる必要があると動き始めた凍夜だが、最悪の事件は予想以上に早く起きてしまった。
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