1.再会

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「やっぱりあれね。美術が苦手ってのは、心に潤いが足りないからよ。 せっかくだから、本当に野村君とお友達になってみない?」 「そういえば何で名前知ってるの? 知り合い?」 「町内会の回覧、彼の家に回してんの。 下の名前は光司で、わけあって一年遅れで進学してるんだって。 お父さんと二人暮しで、わたしらが中学の時に、今の場所に引っ越してきたんだよ」 「へぇ……」  下の名前を聞いて、ますます間違いないと私は確信した。  と同時に意外だ、と思った。  私が知る限りでは、離婚してもう十五年近く経っているのに。 「再婚してないの?」 「みたいよ。ここ一年ぐらいは見かけないけど、それまでは毎月違う女の人が出入りしてたの、私も見たもん。 なんにせよ、落ち着く気はなさそう」  恋多きタイプというのは、聞いていた通りだ。
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