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アイスクリームの前に立つと、ハーゲンダッツの横に新作のゴディバ。
三人はそれを見ながら「値段的にゴディバだな」「高ぇ!」「値段と機嫌は比例するよ」と会話を交わす。
「俺たちはリードに繋がれた犬だな」
渚はゴディバを買い物かごに放り込みながら、死んだような目で告げた。
ただのリードじゃない、伸縮リードだ。
どんどんリードは伸びていく。自由な場所が増えるし、飼い主は見えなくなる。
意気揚々と走り回っても、リードは必ず飼い主の手の中にあるのだ。そして「ここまで」と無限に伸びて行くように思えたリードにストップをかける。
渚はゴディバを見ながら、そんな気分に陥る。
これからどんな未来が待っているんだろう。
大学に行って、車の免許を取って、可愛い彼女なんかを助手席に乗せて海までドライブに行った帰りに寄ったコンビニでゴディバを見かければ、パブロフの犬のように姉が脳裏に現れるのだろう。
見えないリードは必ず姉が掴んでいるのだ。
そして当たり前のようにメールを送るのだ。彼女の隣で「コンビニに居るけど、何かいる?」と…
三人はため息をつきながら、レジに向かう。
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