エピローグ

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だって、そんな話したら、また僕をからかうじゃないか。かーくん、オバケを見たんだなぁ、とか言って。 むくれると、猛は笑う。 「あいつのせいで、島には申し子が増えた。蒼太も、そう。南咲良も、そうだったんだ」 そうか。たしかに二人は父親の同じ兄妹だった。 でも、その父親が、僕らの思ってた人じゃなかったんだ。 「咲良を島から誘いだそうとしてたのも、島村だったみたいだな。女優にしてあげるとか言われてさ。 去年の祭りの日、海歌と入れかわって、外に出た咲良は、荷物をとりに自宅へ帰った。それを、あの人に見つかってしまったんだと思う。 進路について、親と言い争ってたって、響花たちが話してたろ。 その場で口論が、ぶりかえした。咲良はフェリーの時間もあるから、カッとなっただろうな。禁句を言ってしまったんだよ。きっと。 『あんたなんか、わたしのお父さんじゃないくせに!』ーーたぶん、そう言った……」 それは、つらかっただろうなあ。 愛する奥さんが浮気してできた子ども……。 それを知りつつ、あの子は申し子だから、竜神さまからの授かりものだからって自分をだまし、だまし、育ててたんだ。 あれほどの美少女だ。 何も知らずに、お父さん、お父さんって、なついてくれてるころは、可愛くて、たまらなかったろう。     
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