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それに、洞くつの入口を見張ってたことにしとかないといけないからな。あまり長く、その場を離れることはできなかっただろう。
儀式が終わって、みんなが去ったあと、すぐに岩場の溝に遺体を入れて、あとは朝になってから見つけたふりをすればいい。
遺体は溝に運ぶ前、船のなかに置いといたんだろうし。その船で洞くつの前まで行くんだから、さほど時間はかからなかっただろう」
「のえるちゃんのことは?」
「もちろん、巫女の入れかわりを知ってたからだ。のえるが南さんを犯人だと知ってたのかどうかは、わからない。
ただ、何かのきっかけで、のえるが、その話を南さんにしてしまったんだろう。ほっとくことはできないと思われて、殺された」
何から何まで悲しい事件だ。
口は災いの元だね。ほんと。
「もうひとつ、わからないんだけど」
「ああ?」
「南さんは、なんのために、蘭さんをニエにしようとしたの? 蘭さんが事件のこと調べまわってるからジャマだったの? でも、それなら、僕らだって狙われるよね?」
猛は、さみしげに笑う。
「だからさ。はずみだったんだよ。ほんとに殺したかったわけじゃない。
きっと、竜神に生きかえらせてもらいたかったんだ。咲良をーー自分の娘をさ。
蘭をささげれば、死人でも生きかえりそうな気がするだろ?」
なんだか涙が出てくる。
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