冷えきったベッド

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「まだ寝てて大丈夫よ」 その声に安心して、青波学は再び眠りに付いた。 早く、彼女を抱きたい。そう思いながら先程まで見ていた夢の中へと戻っていく。 あれは……確か……。 そう。 叔父の経営する大手リゾートホテルの結婚式場での事だった。 それが彼女を見かけた最初だったと思う。 ウエディングプランナーとして、頼られる側となっていた彼女。 「責任は全て私が取りますから」 隣の部屋から聞こえてきた声。 自分が、敷かれたレールを淡々と進むだけの人生になっていたから、今時そんな熱いこと言う奴の顔を拝みたいと、その声の主を探した。 その彼女の拳が微かに震えていたのがいつまでも頭から離れない。 それからというもの、そのホテルに出向く度に彼女を探していた。 名前は香田碧依。 だが、彼女の目の優しさは他の男に向けられていた。 ……何だ、男いるのかよ。しかも同じ職場って。 別に恋とか愛とか、今更そんな安いものどうでも良かった。求められれば抱くし、興味を持てば落としていた。 俺がそこを訪れれば彼女の同僚たちは騒ぐのに、彼女だけが影の薄い恋人にだけ視線を注ぐのは正直面白くなかった。
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