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だから、その視線が消えたのに気付いたとき、拳を強く握ったのは高揚からだった。
それから幾日と経たずに、視察中で訪れていたその場所で彼女を見るとは思わなかった。
これは運命か、悪戯か。
どちらでも構わなかった。
彼女と繋がるきっかけになるのなら、何だって利用してやる。
ほら、彼女はこんなにも簡単に手の内でよがる。
もう手に入れたも同然だった。
誰でも望めば簡単に手に入る。何てつまらない。
あれ程の嫉妬心が馬鹿みたいだ。
そう思っていた。
なのに、どうして……。
愛を囁いた彼女に対しての怒りが一気に押し寄せた。
はっきりと覚醒した中で彼女の温もりは消え、ベッドは冷えきっていた。
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