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扉の隣のチャイムを恐る恐る鳴らす。
内側からドアを開ける気配もなく、そのままそこで佇む彼女。
同じフロアの客だろう、すれ違い様不審な表情で彼女を見詰める。
居たたまれずに先程手渡されたカードキーで仕方なく中に入った。
もう、会場には受付の片付けのために残っていた自分達しか居なかったから、彼も既にここに来ていると思い込んでいた。それが居ないとなると……。
居心地悪くソファーに浅く腰かけた。
途端にガチャリとドアが開く。
弾くようにその方向に視線を向けた。
「良かった。来てくれて」
破顔する彼とは対照的に彼女の顔は強張る。膝の上に置かれていた拳にも力が入るのが彼にも分かった。
「で?君はどうやって償ってくれるの?あの朝傷付いた俺の気持ちを」
碧依の隣に深く腰掛ける。
彼の人差し指が彼女の頬をいやらしく這う。
肩を縮めながら彼女は目をきつく閉じた。
途端に、肩を倒されてバランスを崩しソファーの背に押し付けられた。
それと同時に重なる唇。彼の舌が彼女をこじ開けて簡単に侵入してくる。
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