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「確かに、我々フェイスは人間の感情を回収し、自我と能力を育てていく。
――だがね、稀にああいうのが生まれてくるのだよ……
最初からある程度の自我をもった、個体がね」
「最初カラ?」
そう問い返す部下は疑問を呈しながらもその態度にブレがない。無意識が肉体を動かすと言うことがないのだ。
それに対してあえて大仰に肩をすくめて答えてみせる。この無駄な動きこそ、
大量の感情を吸い取り自我を発達させた大幹部級フェイス――
"ジェネラル・フェイス"の特権だ。
「そうとも。そもそも我らフェイスは自我を持っていないのではなく、極めて薄いのだ。
その薄い自我を補強するために、人間どもから感情を回収する……
だが突然変異という奴か、あやつのように強い自我を生まれもつ個体もいる。
――そういう個体は成長率も高い。アレがアルカー対策部隊に選ばれたのも、
必然というものか」
さすがに表にださなかったが、アルカーの名を出したときには苦々しいものがこみあげてきた。
アルカー・エンガ。秘密組織"フェイスダウン"の宿敵。
社会の闇にまぎれ、人々から感情エナジー"エモーショナルデータ"を回収するフェイスを
妨げるいまいましい怨敵だ。
これまで何体のフェイスが倒されたか、数えたくもない。
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