NoFace -戦闘員1182号-

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「確かに、我々フェイスは人間の感情を回収し、自我と能力を育てていく。  ――だがね、稀にああいうのが生まれてくるのだよ……  最初からある程度の自我をもった、個体がね」 「最初カラ?」 そう問い返す部下は疑問を呈しながらもその態度にブレがない。無意識が肉体を動かすと言うことがないのだ。 それに対してあえて大仰に肩をすくめて答えてみせる。この無駄な動きこそ、 大量の感情を吸い取り自我を発達させた大幹部級フェイス―― "ジェネラル・フェイス"の特権だ。 「そうとも。そもそも我らフェイスは自我を持っていないのではなく、極めて薄いのだ。  その薄い自我を補強するために、人間どもから感情を回収する……  だが突然変異という奴か、あやつのように強い自我を生まれもつ個体もいる。  ――そういう個体は成長率も高い。アレがアルカー対策部隊に選ばれたのも、  必然というものか」 さすがに表にださなかったが、アルカーの名を出したときには苦々しいものがこみあげてきた。 アルカー・エンガ。秘密組織"フェイスダウン"の宿敵。 社会の闇にまぎれ、人々から感情エナジー"エモーショナルデータ"を回収するフェイスを 妨げるいまいましい怨敵だ。 これまで何体のフェイスが倒されたか、数えたくもない。     
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