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赤いレンズの中ですら鮮やかに浮かび上がる、アルカーの炎。
フェイスが人を襲い、アルカーが守る。フェイスに注がれる
怯えた視線を自身の背中で遮り、その背で希望を見せ付ける。
オレはその戦う姿に、自分でも言い知れぬ衝動を感じていた。
――生後二週間の身には、それがなんなのかわかるはずもなかったが。
・・・
「――1182号ハ、不可解デス」
いかにも機械的な抑揚で語りかけられ、わずらわしげに首を向ける。
実に耳障りな声だ。だが同時に愛しさも感じる。
なにしろ、我々フェイスにしてみれば幼児の声みたいなものなのだから。
「アレハ、マダ実戦ニ出テイナイハズ。
人の感情を吸い取っていないのに、マルデ最初カラ自我ガアルカノヨウデス」
「――ああ、君はまだ知らなかったのだね」
流暢な発音が自身のスピーカーから流れたことに満足し、仮面の顎部をさする。
部下の無知をあざ笑っているわけではない。一つ一つ新しいことを知っていく姿が
微笑ましいのだ。
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