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いや、実際に対策本部が設置され捜査が始められたこともある。 だが"フェイスダウン"の恐ろしさはその戦闘力だけではなかったのだ。 彼ら"フェイス"は人間に欺瞞し、行政組織のあちこちに隠れ潜んでいた。 そのスパイにより捜査チームの情報は敵に筒抜け。数日にして全員が生きた屍と化した。 一週間もたたずにチームが瓦解したことを受け、秘密裡に結成されたのがCETだ。 その存在を隠匿するため、通常の行政機関とは隔離された秘密部隊。 その結成に重要な役目を果たしたのが――"博士"こと、雷久保番能(ばんの)氏だ。 博士は、フェイスダウンに捕らわれその研究に従事させられていた人間だ。 だが夫婦で共に脱走し、そこで得た情報や技術などを提供してくれた CETの重要人物でもある。 その博士が"フェイスダウン"に所在を知られたとなれば――どうなるかは、 想像に難くない。 「幸いと言いたくないが、この情報漏えいにより身内に潜んでいた"フェイス"は  特定できた。だがそもそも、ばれることを承知で"フェイスダウン"に  情報を伝えていたのだろうな……」 「……それでは、この町で博士と接触するわけにはいかないですね」 「そうだ。……と、言いたいところなのだがな……」 「まさか……」     
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