01

5/9
前へ
/9ページ
次へ
眼鏡の奥から凛とした瞳で相手を見据える、長い黒髪をたなびかせる彼女だが、 組織の長という立場上どうも眉間にしわが寄りがちだ。 せっかく端正な顔をしているのだからもったいないと思う。 ――そう、俺が身につけた力こそ、博士がフェイスダウンから奪い去った"炎の精霊"。 太古の昔より地球に存在した、超自然のパワー…… それ以上のことはフェイスダウンすら知らない、正真正銘の超常現象、超常存在だ。 意志を持った力場であるそれは、適合者としてこの俺を見出し融合した。 その力を引き出すために与えられたスーツとあわせて、俺は―― "アルカー・エンガ"となる。 フェイスの装甲すらやすやすと貫く、精霊の力。これによって我々CETは フェイスに対する"矛"を手に入れたのだ。 反面、"アルカー"一体でフェイスの魔の手を防がねばならない、というのが 俺たちが持つジレンマでもある……。 フェイスたちを殲滅するだけならそれでもまだなんとかなる。だが、こういった護衛任務などは極めて不利だ。 「……不平を言うつもりはありませんが。いくら"アルカー"の力があっても  このままではジリ貧です。  結局のところ、一人でできることなど限りがあるのですから……」 「わかってる、わかってはいるんだ……おまえには苦労をかけるが……」     
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加