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眼鏡の奥から凛とした瞳で相手を見据える、長い黒髪をたなびかせる彼女だが、
組織の長という立場上どうも眉間にしわが寄りがちだ。
せっかく端正な顔をしているのだからもったいないと思う。
――そう、俺が身につけた力こそ、博士がフェイスダウンから奪い去った"炎の精霊"。
太古の昔より地球に存在した、超自然のパワー……
それ以上のことはフェイスダウンすら知らない、正真正銘の超常現象、超常存在だ。
意志を持った力場であるそれは、適合者としてこの俺を見出し融合した。
その力を引き出すために与えられたスーツとあわせて、俺は――
"アルカー・エンガ"となる。
フェイスの装甲すらやすやすと貫く、精霊の力。これによって我々CETは
フェイスに対する"矛"を手に入れたのだ。
反面、"アルカー"一体でフェイスの魔の手を防がねばならない、というのが
俺たちが持つジレンマでもある……。
フェイスたちを殲滅するだけならそれでもまだなんとかなる。だが、こういった護衛任務などは極めて不利だ。
「……不平を言うつもりはありませんが。いくら"アルカー"の力があっても
このままではジリ貧です。
結局のところ、一人でできることなど限りがあるのですから……」
「わかってる、わかってはいるんだ……おまえには苦労をかけるが……」
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