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「悪いが堀田は、既に廃人だぜ」
だがそののほほんとした会話を断つように、一弥が言った。
「廃人だ。えらくトゲがあんな」
その意味がわからず俺は視線を向ける。太助はテンパった様子だ。おどおどした視線を一弥に向ける。
「堀田は伊勢佐木(いせざき)を拠点にする、アルタイルの兵隊だ」
アルタイルってのは中規模クラスの武装チームだ。いつだったか一弥に壁ドンされた奴、奴もその一員だ。チーム名騙って、息巻いていたから覚えてる。
「だけどあそこって、リーダーがボコボコに叩き潰されて、解散寸前じゃねーのか」
俺は返す。数ヶ月前、ウチのガッコーに殴り込み騒ぎがあった。その殴り込みをかけたチームが、アルタイル。だが逆にたった一人の男によって返り討ちに遭った。
市内には様々なチームが乱立している。それぞれが互いを敵とみなし、熾烈な争いを繰り広げている。そんな状況下で、たった一人にぶちのめされたとなれば、チームとしての体裁は失うだろう。噂が広がり弱体化する。最後には吸収されるか解散するか、そのどちらかの道しかない。
「確かに解散寸前だった。だが今は完全に復活して、派手な商売に打ち込んでいる。リーダーが代わったからな。その新しいリーダーこそが三崎」
「三崎って。……誰だそれは」
「三崎翔(みさき しょう)、オーク学園二年生。王城とつるんでる金髪の男だ。あれこそがアルタイルの現リーダー」
俺は思考をフル回転させる。王城がいつでも一緒にいる奴は二人。少し背の高い金髪と、熊みたいな大男。とは言え、三人共その素性はよく知らない。王城を含めて、三人共最近転校してきたばかりだから。
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