欲望の街角

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「あのチャラけた金髪野郎か。……だけど奴はブラックスの人間じゃねーのか?」  堪らず訊ねる。俺は王城がブラックスのリーダー補佐をするぐらいだから、その取り巻きも同じブラックスだと思っていた。 「確かに三崎は、横浜ブラックジョーカーズのメンバーだ。だがアルタイルが弱体化したことによって、その存在を乗っ取った。そしてブラックス本家から三崎が選ばれて、奴がそのリーダーになった。ブラックスは直参制度を利用して、傘下にいくつもの武装勢力をまとめてるから」 「成る程な。ブラックスは最近、勢力を増してっからな」  市内最大規模の武装チームといえば横浜ブラックジョーカーズだ。敵対する勢力を力で叩き潰し、その傘下に治めていく。ヤバい商売は、その傘下にやらせて、その売上のいくらかを搾取する。それこそが奴らのやり方。いわばヤクザ組織でいう直参制度と同じだ。  だけどそんな俺らの会話、 太助にはちんぷんかんぷん。 「俺には難しいことは分かんないけど、それと堀田先輩がどう繋がるのさ?」 「堀田はその女に興味ある訳じゃない。ただ単に、チームの生け贄なんだろう」 「生け贄って……」  その一弥の台詞に、ごくりと息を飲む。 「堀田は今夜、アルタイルの大規模な集会に参加してる筈だ。集会といっても、女を集めてのパーティーだがな」  一瞬太助を見やる一弥。 「パーティーっていうのも表向きのカモフラージュだ。その中身は女をかき集めて、浚って強引に犯すこと。アルタイルは影で売春の斡旋なんかもしてるらしいしな」  そして一気に吐き捨てた。 「けっ、とんだコマシ野郎だ」  俺の脳裏に浮かぶ三崎の面影は、軽薄そうで、薄っぺらなイメージ。確かにあいつなら、その辺の女をあっさりたぶらかすことも可能だろう。それなりの面構えもしてる。 「そんなこと出来るの? だって堀田先輩も、その三崎君も高校生でしょ?」 「それが可能なのは、上部組織がブラックスだからだ。その加護があれば、それなりの危険な商売も可能。学生だろうとニートだろうと、ヤクザだろうと問題はないんだ」  ブラックスってチームは、その程度のことはごく普通だ。法に引っ掛からないギリギリ、もしくは見つからなければ、なんでもありのチーム。その加護の下、傘下組織は様々な商売をこなしている。ヤバくなれば切り捨てればいいだけだから。
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