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その様子を、一弥の奴が怪訝そうに見つめてる。
「おい、シュウ?」
言ってエロ雑誌を本棚に戻した。その台詞で俺は少しばかり冷静さを取り戻す。
「なんだよ、やけにイラついてんな。お前らしくないぜ?」
「アルタイルの集まりそうな場所はどこよ?」
一弥はストリートチームの情報に長(た)けてる。もしかしたらと思って訊ねた。
「なんでだよ?」
探るような視線で俺を見つめる一弥。
「は、なんでって……」
俺は返す言葉に困った。確かにそんなこと、俺だって分かんねー。頭で考えた言葉じゃなかったからだ、思わず口走っただけだから。
「今の電話は?」
「マリアからだ」
「マリア? 転校生の女だな」
その問いに俺はコクリと頷いた。
「あいつ、アルタイルの集会について行っちまったんだよ、多分春菜に誘われて。だから教えろ」
「だからなんでだ? ついて行った奴がわりぃんだろ?」
それでも一弥は覚めた態度。確かにその言い分は理解できる。さっきまでは俺だって、騙される方が悪いと言ってたくらいだから。自分でも意味不明だ、何故こんなにソワソワしてるのか。
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