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続く沈黙の中、俺は必死に感情を整理する。
「銭だ。狂った人間社会。夢ってなんだ、希望なんざあるか。所詮この世は銭こそが全て……」
そしてひとつの答えを導き出した。そうだよ永吉のオッサンとの契約だ。この任務が成功すれば、オッサンから報酬と称しボーナスが出る。幾らかは知らんが、かなりの大金だろう。そうさ金の為だ、他に理由はねぇ。そう整理した。
「あれだ。太助の馬鹿、流石にあの状態じゃヤバイだろ。助け出してメシでも奢らせようって思ってな」
「斉藤の為か。珍しいよな、仲間を助けるなんて」
「馬鹿、俺様に仲間はいない。ほんとメンドーなことばっか訊いてくんな。おめーには頼まねー」
実際根掘り葉掘り訊いてくる一弥にもムカつきを覚える。いったいなんだこの野郎。そういえばあのマリアとのやり取りの時も、こいつは見てやがったよな。関わりにならんのが賢明かも知れん。
「悪いっすけど先輩、急用で少し出てきます!」
俺は横に視線を向け言い放った。今更になるが最初からモーリーは個室にいた。一弥の存在を恐れて引きこもっていたんだ。
こうして一弥とテンパるモーリーを余所に、俺はコンビニの制服を投げ捨て外に飛び出した。
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