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弁天堂美咲と泥人形《マッドロイド》06
時速八十キロぐらいのスピードで、吹き飛ばされたさえりさんは壁に激突した後、床へとうつ伏せの状態になり倒れていました。両手を、交差させるようにして拘束した状態で、迷斎さんはさえりさんに股がっていました。
バタバタと足を動かし、必死に抵抗するさえりさんですが、全体重をかけられて、こうもガッチリと拘束されていては、さすがに解くのは容易ではないようです。
「ゲホ、ゴボ……まったく、遅いですよ迷斎さん」
「ちょっと、調べたいことがあって遅れてしまった。まぁ、ヒーローは遅れて来るものだろう?」
さえりさんとは対象的に、涼しい顔で迷斎さんは言いました。
まあ、迷斎さんの場合はヒーローでも、ダークヒーローの方ですけれど……。
女性に股がっている今の状態を見たら、間違いなく悪役は迷斎さんの方なのですが、ツッコンでいる余裕は私にはありませんでした。
「そんなことより、早く泥人形を何とかしてください」
私は、部屋の壁にもたれたままの、娘さんの人形を指さして言いました。こんな状況でも、微動だにしない人形を指さして。
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