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まーくんは、いつものように、自宅マンションのベランダから、双眼鏡で外を見ていた。ずっとテレビを見ていたので、テレビに飽きていた。
ちょうど、昼下がり。
太陽が、眩しい。
まーくんは、小学低学年くらいの男の子だ。身体は、何日か前から痛かったが、我慢できる痛みなので、何にも問題はない。
双眼鏡は、おかあさんが、半年前の誕生日プレゼントとして買ってくれて、値段も倍率も高かった。
「大切にしてね」
と、言われたように、大切にしているし、まーくんにとって二番目に宝物だ。
一番の宝物は、妹の愛。
「愛が沢山来るように」と、言う意味で、付けたらしい。まだ、言葉も喋れない赤ちゃんで、泣いてばかりでうるさいと思うけれど、笑った顔は可愛いんだ。
お兄ちゃんだもの、愛が大きくなったら、もっともっと、可愛がろうと、まーくんは、思っている。
親が、帰って来ない時間が、まーくんにとってとても幸せな時だった。
もろん、親が帰ってくるのを双眼鏡で、見るのも、楽しみだった。
今、お菓子屋さんの角をまわったから、次は自動車屋さんの前を通って…玄関に徐々に近づいて来る足音を耳をすまして聞くのも、得意だ。
親が、帰って来たら玄関まで行って、笑顔で「おかえりなさい」を言うんだ。
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