死にたい理由

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6月9日。 8時15分 「…行ってきます。」 ぱたん、と玄関の扉を閉め鍵をかける。 小松 結 中学3年。誕生日は2月26日。 性別は女。多分血液型はO型。 身長146cmの体重42kg 半袖のセーラー服に身を包みその小さな体とは対照的な大きなスクールバッグをからう。 「…重い。」 一つつぶやきため息を吐く。 潰れてしまうのではないかと言うほどの重さに耐えながらゆるりゆるりと足を進めていく。 走る気力すらない。 そうしてぼぅっとしながら足を進めていくうちに学校についていた。 ”荒波中学校” ちょっと古いが、老朽化してないだけいいと思う。 靴を履き替え、教室に向かう。 ただいまの時刻、8時52分 ここの学校のホームルームの始まる時間は8時25分。 完全なる遅刻だ。 「……まぁいいや。どうせならのんびり歩こう。」 ゆっくり階段を上る。 踊り場の鏡に目をやると自分が写っていたので 鏡に向かってふっと笑ってみる。 「……なにこのへたくそな笑顔…」 うつ伏せがちな目を曇らせ、自虐的に一言漏らす。 そっと鏡から離れ二階にある教室に行く。 手前から3番目の教室。 私のクラスの3?3の扉を開ける。 立て付けの悪い扉に力をこめギギギッと開けるとわいわい騒がしいみんなの声がした。 「小松、おはよ。今日も寝坊か?」 ハハッと愉快に笑うこの先生は担任の咲音先生 「咲音先生……ビンゴ」 伏せた目が目の前にいる人物を見上げる。 「それにしても小松お前…また目の下の隈が酷くなったか?熊が30匹くらいいるぞ?」 先生のその発言を聞き、クラスの大半が笑う。 「…そうですか。」 それだけ言い、自分のロッカーにバッグを投げ入れる。 カチャンと、バッグにつけていた猫のキーホルダーが外れた。 それを拾い上げ乱暴にポケットの中に入れる。
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