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・・・ 暗いハイウェイを点々と街灯が照らす中を、長年使用してきた愛車でひた走る。 この期におよんで事故など起こしてはたまらないと思うものの、はやる気持ちと 恐怖とでアクセルペダルを踏む力が一定しない。 「あなた……」 助手席に座った妻が、不安にかられ諌めるように声をかけてくる。 わかっている、と安心させるように笑顔をむけたつもりだったのだが、 実際には硬い表情でちらりと目線を向けるにとどまった。 「――わかっている、わかってはいるんだ。だが……」 「大丈夫、大丈夫です。もう、あと少しじゃありませんか」 「わかっている。わかっているんだ……」 もっと気のきいたことを言えるはずが、恐怖心が身体も心も縛り付ける。 十何年ものあいだ、あの組織に捕らわれ彼らの研究に従事させられていた。 もともとは進化分子工学という分野の研究者……の道を目指していた学生だった。 当時私が偶然発見した遺伝的アルゴリズムが奴らの目に留まり、拉致されたのだ。 奴らのアジトに連れ込まれた時の衝撃はいまだに覚えている。 当時の人間社会が持つ科学技術を遥かに越えた実験設備、その成果物。 いやそもそもが私を拉致した生体アンドロイドそのものが、私の認識力を     
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