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一瞬、妻と視線がからみあう。「私たち」という言葉に含みを感じたのだろう。 まだフェイスダウンの研究所にいるはずの―― ガシュ! 「――ッッッ!?!? おッ……おとうさッ……!?」 刹那、娘の声が逼迫したものになる。その響きに戦慄し、バックミラーを覗く。 ガシュ。ガシュ。ガシュ! ガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュガシュ…… いつのまにか街灯の光が消えた後方。黒く染まった道路に、点々と光が弾ける。 ――蹴り砕かれたアスファルトが、火花をあげているのだ。 そして浮かび上がるのは――赤い、光点。 「――ッッッッ!!」 一気に顔が青ざめるのを感じる。横にいる妻の震えが、伝わってくる。 フェイスに発見されたのだ。 ・・・ 「――見つかったのか!?」 「ああ! たった今、雷久保氏から救援を求められた!  場所は西の三坂ジャンクションの先だ! 急行してくれ!」 「了解!」 即座にアクセルに添えた手を離し、腰に巻いたベルトに伸ばす。 俺の身体に宿った精霊を、現実世界に引き出すための装置だ。 じゃらりと畳まれた両翼を引き上げ、解放させる。 俺の体が、炎に包まれる。手足を焼き、顔を焼く。 激痛が全身を襲うが、それは俺の身体を作り変える痛みだ。     
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