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青の惑星
僕は宇宙船の中で夢を見た。
500年も冷凍睡眠で眠っていたが、まさかその間ずっと夢を見ていたと思うと不思議な気持ちになる。冷凍睡眠取り扱説明書には、生物がこの装置を利用し夢を見る事はないと書かれていたが……
冷凍睡眠装置が開き、僕は身体を起こそうとしたが、錆ついた機械のように上手く上半身を動かす事ができない。
筋肉が弱っているのだ。
まぁ、そんな事は眠る前から想定済みだったので身体の運動を手助けする器具が装置の中に用意されている。
僕はそれをつけて装置から出た。
そして、宇宙船の窓から外を見る。
すると目の前には母星によく似た惑星があった。
海しか見えない。水の惑星だ。
僕は眠る前の事を必死に想い出す。
確か……そうだ。環境破壊により母星の砂漠化が進み、我々は滅亡の危機に直面して……我々は生物の住める星を探して宇宙へ飛び出したのだ。
僕達はその中でも比較的生物の住みやすいであろう星へと飛ばされた。
僕達……
そうだ。僕一人じゃない。
この宇宙船には他の者もいる。
僕は冷凍睡眠装置のある部屋を出て狭い廊下を歩く。
他にもいくつか部屋があり、僕は目についた部屋を開けた。
すると、僕の所と同じように冷凍睡眠装置が置かれており、その装置が開いている。
僕は装置に近付き、その中を覗いた。
だが、そこにあるものを見て僕は驚愕する。
腐ってる……
冷凍睡眠失敗?まさか……
腐っている姿を見て、急に腐敗臭が鼻をつく。
僕は部屋を出て嘔吐しようとした。
だが、胃に何も入っていないためか、何も出ない。
僕達の目的は、新たな惑星でもう一度文明を繁栄させる事……
だが、死んでちゃ意味がない。
僕は他の部屋も確認してみた。
しかし、全部屋の冷凍睡眠が失敗していた。
嘘だろ……
僕だけか……?
僕だけなのか……?
宇宙船は徐々に水の惑星へと近付く。そして、海へ着水した。
着水の振動が船内へ伝わり、バランスを取れなくなった僕は床に倒れる。
起き上がろうにも上手く力が入らない……
しかし、この惑星には陸が無いのだろうか?
宇宙船は海の上を漂う。僕は窓の外を覗き陸を探すが見付からない。
まぁ、こんな狭い範囲を見ていちゃ見付かるわけもないか……
それにしても……力が出ない。
お腹が空いたからか……?
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