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「……」
お台場海浜公園の海が見えるベンチに座っていた私と和也君の間には少し重たい沈黙が漂っていた。
彼の顔を見ることも出来ず、私は目の前に広がっている砂浜をただ見つめていた。
さっきまで聞こえていた周囲の楽しそうな会話達。それも脈打つ鼓動の音で上手く聴き取れない。
和也君に悟られないように深呼吸をする。
なんとか気持ちを落ち着かせようとしたけど、自分自身への後悔が先行して鼓動は早くなる一方だった。
なんであんなこと言ってしまったんだろう……
「……はぁ」
ふと和也君の口から漏れた言葉が耳に入ってきた。言葉というよりは溜め息に近かった。
それを聞いた途端、鼻の奥がぐーっと熱くなってきた。堪えないといけないのに抑えられそうにない。
慌ててハンカチを目頭に当てて顔を隠した。今日は暑いから汗を拭いていることにすれば大丈夫。ウォータープルーフにしていて本当に良かった。
「……明菜ちゃん?」
和也君は私の異変に気づいたようだったけど、再び押し黙ってしまった。多分和也君は困ってる表情をしているに違いない。
本当にいい迷惑だよね、私って。
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