19years distinction

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「ちゃんと見ててね」 そう言うと和也君は海に向かって、腕を振り抜いた。手元から離れたシルバーリングは高い放物線を描き、青空の中へと飛んでいく。 太陽の光に反射してキラッと輝いた指輪。だけどそのまま空に吸い込まれることなく、次第に高度を下げていった指輪はそのまま海の中へと落ちていった。 和也君の思いがけないその行動に思考が停止する。ただただ驚きを隠せずに彼の横顔を眺めると、彼は黙ったまま海を見つめていた。 でもその表情はどこかすっきりしているように見えた。 「これが俺の答えだよ」 私に振り向いてそう言って笑ってくれた和也君。その笑顔を見た瞬間に涙が溢れて止まらなかった。 そんな泣き虫な私をそっと抱きしめてくれると 「もう元カノに未練ないから。絶対君を大切にするから」 そう耳元で言ってくれた。その言葉に背中を押されて、私も彼をきつく抱きしめた。 19years distinction #3 けじめ --終--
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