いきなりですが僕の下僕になってくれませんか?

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明日香第一高校。 その学校は男子校で、全寮制となっている。そして、その男子寮の寮長にはある噂があった。 寮長の名は如月 明人。23歳。彼は、普段は困ったことがあればなんでも相談に乗ってくれ、ついでに頭も良いので勉強に困った際には分からないところをわかりやすく教えてくれるというとても優しい性格だと言われている。 だが、その反面、寮内にはこんな噂があった。 「寮長を怒らせてしまったらもう後戻りはできない。」 何がどう後戻りできないのかは不明なのだが、実際に寮長を怒らせてしまった生徒のほとんどは自主退学をしたとか…… だから、その寮では彼を怒らせるようなものはまずいなかった。まぁ、そもそも彼が怒りをあらわにすることは滅多にないというのだが…… 飛鳥第一高校、朝の教室にて。 チャイムが鳴り響き、男子生徒たちは次々と自分の席に座っていく。ガラガラと音を立てた方を見ると歳のとった気弱そうな担任が教室に入ってきた。 「あー、今日はこのクラスに転入生が来ることになりました」 別に騒ぐ様子はない。まぁ、来るのは男子なので騒げる要素がないのだが…… 「それでは、えー入ってきなさい」 その声の後に教室に入ってくるひとりの少年。その姿は明るく染めた茶髪のツーブロックにたくさんのピアス。制服はだらりと気崩していてそれは誰が見ても「不良」と言わざるを得ないような姿だった。 「えー、自己紹介を……」 「柊 凌駕。よろしく」 無愛想に一言そう告げると、彼、柊は担任の指示を聞かぬままそのまま空いている席について、その途端に息を立てて眠ってしまった。
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